相続・遺言 用語辞典(借金、財産、遺言書、相続人調査、相続財産調査、相続放棄他)のイメージ画像
あ行 か行 さ行 た行 は行


遺言書の検認
遺言書の内容を確認し、遺言書の偽造・変造を防止するための手続のことをいいます。家庭裁判所で行う必要があります。
遺言執行者
遺言書の内容を具体的に実現する人のことをいいます。遺言書の内容に従って、被相続人の代理人として、相続財産を管理し、名義変更などの各種手続をします。
遺言相続
被相続人の遺言書の内容に沿って行う相続のことをいいます。
遺産分割協議
被相続人の財産を、誰が、どういう割合で、どのように分けるかを決めるために、相続人間で話し合うことをいいます。
遺産分割協議書
遺産分割協議でまとまった内容を、書面にしたもののことをいいます。後で、争いになることを防止するために作成します。
遺留分
遺留分とは、民法の定めにより兄弟姉妹以外の相続人が相続できる、最低限の割合のことです。被相続人は遺言等で財産の自由な処分ができてしまいます。もし、愛人に財産のすべてを相続させるという遺言があった場合、残された家族からしたらどうでしょうか?今後の生活のこともあるのに、と不安になりませんか?ですから、民法では、残された家族の生活を脅かすことがないよう、一定の相続人に最低限の保障として、遺留分を認めているのです。
この遺留分は、上記のように配偶者、子、直系尊属に認められている権利であり、すべての財産が愛人に渡ってしまっても、一定の額を返してもらえるよう請求できます。
限定承認

限定承認とは、相続人が被相続人のプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産を引き継ぐというものです。「プラスの財産があるが、マイナスの財産もあるのも確かだ。ただ、マイナスの財産がどれだけあるのかが明確ではない。」というような場合の選択肢です。限定承認は、文章ではわかりにくいものですので、下記の具体例で説明します。限定承認をする場合は、相続人全員で家庭裁判所に申述しなければなりません。この申述をする際に注意点があります。限定承認の申述は、原則相続開始があったこと及び自己が相続人であることを知ったときから3カ月以内にしなければなりません(この期間を熟慮期間といいます)。この期間が過ぎてしまうと、自動的に単純承認となります(法定単純承認)。

例:父が死亡 ・・・ 遺産が不明確
実際は、
預貯金 1,000万円 1,000万円 - 500万円 = 500万円 +500万円となる
⇒相続する
借金500万円
預貯金 500万円 500万円 - 1,000万円 = -500万円 -500万円となる
⇒相続しない
借金1,000万円
推定相続人
推定相続人とは、もし相続が開始した場合に、相続人となるであろう人のことです。
相続欠格

相続欠格とは、相続人が以下のような行為をした場合は、相続人の資格を法律上当然に失うというものです。簡単に言えば、悪いことをした相続人には相続させません、ということを、あらかじめ法律で決めているわけです。

  1. 故意に被相続人、先順位、同順位の相続人を死亡させ、または死亡させようとして刑に処せられた者
  2. 被相続人が殺害されたことを知りながら、告訴または告発をしなかった者。ただし、その者に是非の弁別ができないとき、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族(子、親等)であった場合は例外となります。
  3. 詐欺、強迫により被相続人の遺言の作成、取消、変更を妨げた者
  4. 詐欺、強迫により被相続人に遺言の作成、取消、変更をさせた者
  5. 被相続人の遺言書を偽造、変更、破棄、隠匿した者
相続財産

被相続人が残した財産のことをいいます。財産には、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。下記は、その具体例です。

プラスの財産
  • 金銭(預貯金、貸付金、売掛金)
  • 不動産(土地、建物)
  • 動産(自動車、バイク、貴金属、電化製品、家具、骨董品など)
  • 有価証券(株式、国債、社債、小切手、手形など)
  • 故人が受取人になっている生命保険
  • 電話加入権
  • その他の財産(ゴルフ会員権、著作権など)
など・・・
マイナスの財産
  • 借金
  • ローン
  • 買掛金
  • 未払金
  • 税金
など・・・
相続財産調査
相続財産を調査することをいいます。例えば、預貯金や不動産は、どこにどれだけあるか?借金やローンは、どれだけあるのか?を調査します。
相続財産目録
相続財産調査によって、判明した相続財産を、各財産ごとに目録にしたものをいいます。
相続人関係図
相続人の関係を図(イメージとして、家系図のようなもの)にしたものをいいます。
相続人調査
相続人は誰なのか?被相続人の戸籍等によって調査することをいいます。
相続廃除
相続廃除とは、欠格事由には該当しないが、遺留分のある推定相続人(配偶者、子、直系卑属)に、被相続人に対する虐待、侮辱、非行等があった場合、被相続人が家庭裁判所に廃除の請求をし、家庭裁判所が認めれば、相続人の資格を失わせるというものです。
廃除には、被相続人が生前にするものと、遺言でするものとがあります。
兄弟姉妹には遺留分がないので廃除の対象となりません。
相続分

相続分とは、遺産全体に対して相続できる割合のことです。相続分には、遺言によって定める遺言相続分と民法によって定められている法定相続分とがあります。遺言相続分がある場合は、遺言相続分が優先します。
法定相続分は下記のとおりです。

【相続人が配偶者と子2人の場合】

相続分:配偶者 ・・・ 1 / 2、子全体 ・・・ 1 / 2

配偶者 1,200万円 × 1 / 2 = 600万円 配偶者は600万円となる
1,200万円 × 1 / 2 = 600万円
600万円 × 1 / 2 = 300万円
子が2人なので
子1人300万円となる

【相続人が配偶者と直系尊属(父母)の場合】

相続分:配偶者 ・・・ 2 / 3、直系尊属全体 ・・・ 1 / 3

配偶者 1,200万円 × 2 / 3 = 800万円 配偶者は800万円となる
直系尊属 1,200万円 × 1 / 3 = 400万円
400万円 × 1 / 2 = 200万円
直系尊属が父母なので
父母 各200万円となる

【相続人が配偶者と兄弟姉妹(兄、妹)の場合】

相続分:配偶者 ・・・ 3 / 4、兄弟姉妹全体 ・・・ 1 / 4

配偶者 1,200万円 × 3 / 4 = 900万円 配偶者は900万円となる
兄弟姉妹 1,200万円 × 1 / 4 = 300万円
300万円 × 1 / 2 = 150万円
兄弟姉妹が兄・妹なので
兄・妹 各150万円となる
相続放棄
相続放棄とは、相続人が被相続人のすべての財産を引き継がないというものです。すべての財産ですので、プラスの財産を引き継ぐことはできなくなりますが、マイナスの財産も引き継がなくてもよいということになります。プラスの財産(預貯金、不動産等)は残っているけれども、それよりも明らかにマイナスの財産(借金、ローン等)が多い場合の選択肢となります。
ここで、相続放棄についての注意点があります。相続放棄をする場合は、家庭裁判所に申述の手続をしなければなりません。いくら口頭で放棄をすると言っても、法的には認められないということです。また、限定承認と同様に、原則相続開始があったこと及び自己が相続人であることを知ったときから3か月以内にしなければなりません(この期間を熟慮期間といいます)。この期間が過ぎてしまうと、自動的に単純承認となります(法定単純承認)。
代襲相続(孫・ひ孫など)
故人が死亡する前に、故人の子が死亡したこと等により、直系卑属(故人の孫・ひ孫など)が代わって相続することです。
子が故人より先に死亡しているときは、子の子(孫)がいれば、その孫が代襲相続人となります。
故人の孫も先に死亡しているときは、ひ孫が代襲相続人となります。(再代襲)
直系卑属の代襲相続は、孫・ひ孫・玄孫・・・と直系卑属が存続する限り続きます。
子に欠格や廃除があった場合でも、孫は代襲相続人となることができます。
ただし、子が放棄している場合は、子ははじめから相続人でなかったものとされるので孫は代襲相続人となれません。
代襲相続(甥・姪)
故人の兄弟姉妹が相続人となる場合で、故人が死亡する前に兄弟姉妹が死亡していたときに、兄弟姉妹の子(甥・姪)が代わって相続することです。
ただし、子の代襲と違い、兄弟姉妹の代襲の場合は、甥・姪の子には代襲されません。甥・姪で打ち切りとなります。(再代襲はされない)
単純承認

単純承認とは、相続人が被相続人の財産をすべて引き継ぐというものです。財産といっても、プラスの財産(預貯金、不動産等)だけでなく、マイナスの財産(借金、ローン等)も含まれることに注意してください。
単純承認については、何か特別な手続きは必要ありません。

例:財産が
被相続人名義の預貯金500万円
被相続人名義のローン1,000万円
だとすると、相続人は預貯金500万円を相続することができますが、ローン1,000万円も相続することになりますので、1,000万円のローン返済をしなければならなくなります。
被相続人
被相続人とは、相続される人のことです。簡単に言えば亡くなった人(故人)のことです。
法定相続
被相続人の遺言書がない場合の相続のことをいいます。
法定相続人

法定相続人とは、民法で定められている、被相続人が亡くなったときに相続する権利がある人のことです。法定相続人になれるのは、配偶者、子、直系尊属(父母等)、兄弟姉妹です。ただし、配偶者以外は順位があります。

配偶者常に相続人となります
第1順位
第2順位直系尊属
第3順位兄弟姉妹
※後順位者は、先順位者がいる場合には、相続人になれません。